社長のごあいさつ

本日、2025年9月期の決算発表を行いました。

「2025年9月期決算短信」に記載の通り、当初は、新型コロナ禍の終息に伴う混乱やインフレが一段落し、経済はある程度の先行き希望が見えつつある状況でしたが、諸物価は高止まりし、先行き不透明な中で景気は期待通りに浮揚しませんでした。中国における不動産バブル崩壊に端を発した景気低迷が継続したこと、米国における大規模な関税引き上げがあったこと、その結果として欧州から米国への輸出産業が混乱したことに加え、諸物価の高止まりの継続、政治の混乱や、地政学上の緊張が勃発もしくは継続したことが、消費ムード低迷が継続した理由と思われます。

高級二輪乗車用ヘルメット市場は、上記の経済状況にほぼ沿った形となりました。昨年同期ではコロナ禍で高まった二輪乗用車ブームの減速及び流通段階での在庫調整が基調としては継続しておりましたが、上述の消費ムードの失速により、流通における在庫が期待通りに減らない状態となりました。これに加え、当社においては、前期のような主力モデルのモデルチェンジが無く、マイナーモデルのモデルチェンジにとどまっていることから、販売増を見通すことは難しい状況でありました。

当連結会計年度における日本及び海外を合わせた販売数量は、前年度比11.9%減となりました。欧州市場の販売数量は、前期に発売した主力2モデルの新商品(NEOTEC3、GT-Air3)の反動減に加え、天候不順や不安定な政治経済状況の影響で主要国の販売が低迷したため、前年度比12.4%減となりました。北米市場の販売数量は、景気が比較的底堅く推移しているうえ、同市場で人気のモデルをプロモーションして増量した結果、第3四半期迄は好調を維持しましたが、第4四半期は米国の大規模な関税引き上げ交渉の影響を受けて様子見となり、前年度比では3.1%減となりました。アジア市場の販売数量は前年度比5.2%減となりました。アジア最大市場の中国において市場の低迷が続くなか、旧正月を挟んで小売店が休みを増やす等した結果、第2四半期中心に小売店から代理店への発注が一時的に大きく減少しましたが、第3四半期以降、季節的な需要増により、小売店の発注も回復した結果、中国市場の販売数量は前年比6.1%減にとどまりました。日本市場の販売数量は、過剰な流通在庫の調整が期末まで継続した結果、前年度比25.4%減となりました。

当連結会計年度の業績につきましては、前連結会計年度における値上げ等により単価が上昇したものの、販売数量が前年度比11.9%減少したため、売上高は32,363,623千円と前年度比3,427,098千円(▲9.6%)の減収となりました。生産数量の減少に比べて製造原価は増加し、広告宣伝費等の販売管理費が増加したことから、営業利益は8,899,156千円と前年度比1,431,007千円(▲13.9%)の減益となりました。経常利益は8,900,231千円と前年度比1,602,560千円(▲15.3%)の減益、税金等調整前当期純利益は8,883,978千円と前年度比1,589,800千円(▲15.2%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は6,318,367千円と前年度比1,059,180千円(▲14.4%)の減益となりました。

今後一年の世界経済は、現状から大きく景気の改善が見込めない展開が続くものとみられます。欧州は景気の不透明感、政治の不安定感等から消費の大きな拡大は期待できず、米国における大規模な関税引き上げに伴う企業の価格転嫁はこれから徐々に出てくると予想され、中国も浮揚力を欠いた状況が継続すると見込まれています。一方、欧州では防衛費増やインフラ投資など財政拡張による内需回復が見込まれ、米国ではインフレや失業率の動向に留意しつつも利下げが予想され、中国でも政府が行っている景気刺激策が功を奏する可能性があります。こうしたプラスマイナスの要素が交錯し、景気の方向感を見出し難い一年になる可能性が高いと認識しています。

次期の高級二輪乗車用ヘルメット市場は、上記の経済状況のなか、今後急速な需要増を見通すことは難しい状況にありますが、北米を除いた主要地域において当社製品の販売は当年度比増加を見込んでいます。欧州市場は、前期の主力2モデルのモデルチェンジの反動による在庫滞留が一巡し、次期は新規モデル投入もあることから、当年度比増加となる見通しです。北米市場は、前述の相互関税分値上げによる需要の失速懸念があるものの、景気は概ね堅調に推移するものと推測され、加えて代理店による新規販売店戦略が成功し、過去2期と同程度の高い水準で推移すると予測しています。アジア市場は、主力の中国市場において、ブランド戦略を徹底した結果、景況感の不透明感は継続しているものの、当期前半の最悪期は脱したうえ、少なくとも現状維持程度の販売を予測しております。日本市場は、遅れていた流通在庫の調整も一旦収束したことから、当年度比増加を想定しております。

このような状況のなか、2026年9月期(2025年10月1日から2026年9月30日まで)の連結業績の見通しにつきましては、売上高は33,950,000千円と当年度比1,586,376千円(4.9%)の増収となりますが、欧州子会社の在庫正常化が一巡したことによる未実現利益影響額の減少、米国の関税引き上げの影響、広告宣伝費等の販管費増により、営業利益は8,370,000千円と当年度比529,156千円(▲5.9%)の減益、経常利益は8,380,000千円と当年度比520,231千円(▲5.8%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は5,940,000千円と当年度比378,367千円(▲6.0%)の減益としております。為替レートにつきましては、通期平均で1ドル=145円、1ユーロ=174円を前提としております。

株主の皆様を始め、お客様並びにお取引先におかれましては、何卒より一層のご支援ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

2025年11月14日

株式会社 SHOEI 代表取締役社長
石田 健一郎

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